【開催日時】
2025年4月22日(火)19:00~20:00
【座長】
永田 春乃先生 (琉球大学病院)
【演者】
野村 征太郎 先生 (東京大学医学部附属病院)
【イベント内容】
【参加費無料】ダイバーシティ推進委員会Next Generation部会(旧U-40部会)が企画する新たなwebinar “JCS Channel presented by Next Generations” はNext Generation部会メンバー座長のもと、スペシャルゲストをお招きし、循環器領域に限らず様々なトピックについて語って頂きます。第13回は「臨床と基礎をつなぐ新しい循環器学」として東京大学医学部附属病院の野村 征太郎 先生にご講演頂きました!
【講演概要】
JCS Channel Presented by Next Generations シリーズ 第13回「臨床と基礎をつなぐ新しい循環器学」
講演は日本循環器学会の代表理事に就任した野村 征太郎(東京大学医学部附属病院)。「臨床と基礎をつなぐ新しい循環器学」というテーマで、若手医師に向けて自身の経験を交えながら講演を行っていただきました。
講演概要 🧠
🧬 臨床と基礎の融合:患者ごとに異なる病態や治療への反応を深く理解し、最適な医療を模索。
🏥 医療現場での問い:「今の治療法が最善か?」「なぜこの患者が疾患を発症したのか?」と問い続ける姿勢。
🔍 見えない真実の追究:目に見えないレベル(分子や遺伝子)での探求が新しい医療の可能性を切り開く。
🧪 研究と臨床の両立:iPS細胞、動物モデル、患者検体を活用した病態解明が重要。
🧠 生命とは何か?:遺伝子→RNA→タンパク質→細胞→個体といった階層を基に病態を理解する。
🧬 循環器疾患と遺伝子:拡張型心筋症などでは、遺伝子変異が疾患進行や治療反応に影響。
具体例:心筋症と遺伝子変異 💓
🧩 主要遺伝子:心筋症の原因として「タイチン」や「ラミンA」などの変異が関与。
⚠️ 治療反応の差:タイチン変異は予後良好だが、ラミン変異は重篤な不整脈や移植リスクに関連。
📚 ガイドライン反映:こうした知見が心血管疾患の遺伝学的検査指針に影響を与えている。
🔬 DNA損傷の可視化技術を開発
免疫染色法で細胞内のDNA損傷を検出する方法を開発。
🧪 DNA損傷と心不全の関連
DNA損傷が多い患者ほどリバースリモデリングが起きにくい傾向。
📉 損傷の程度と予後予測
損傷の多い患者は重篤なイベントのリスクが高いと予測できる。
❤️ 心筋細胞のDNA損傷の原因
ミトコンドリア障害や遺伝子修復の不全など多様な要因が損傷に関与。
🧠 癌との共通性に着目
DNA損傷により癌と類似した細胞機能低下が起きる点が興味深い。
💉 IGFBP7の発見とワクチン開発
重症心不全のバイオマーカーIGFBP7を発見し、ワクチンを開発。
🐭 動物実験で治療効果を確認
マウスでIGFBP7ワクチンにより心不全の発症が抑制されることを確認。
🧬 遺伝子検査の重要性
サルコイドーシス様心不全においても遺伝子異常が関与する可能性。
🗺️ 空間トランスクリプトーム解析の活用
組織内での遺伝子発現を位置情報と共に解析し、細胞の状態を可視化。
🧫 多重免疫染色による精密解析
40〜50種類のタンパク質を同時解析できる技術により、病変部位の詳細を把握。
🧩 細胞間の相互作用を解明
肉下種内でマクロファージとCD8リンパ球の相互作用が活性化している様子を確認。
📚 基礎研究の臨床応用を目指す
研究成果を臨床に還元し、より正確な診断や新たな治療法へとつなげる取り組み。
🎓 初学者への教育も重視
生物学の初心者でも3ヶ月の学習で高度な解析技術に触れられるような教育環境を整備。