標榜診療科名見直しに関する要望書

この度以下の要望書を厚生労働省に提出しましたのでご報告します。

平成19年7月11日

厚生労働省
柳澤伯夫大臣殿

社団法人日本循環器学会 理事長     山口 徹 

「循環器科」見直しに関する要望書

 医道審議会医道分科会診療科名標榜部会で,患者・国民がより適切な医療機関を選択できるように標榜診療科名の見直しが検討されていますが,現在既に標榜診療科として認められている「循環器科」が基本的領域の標榜診療科から削除される対象とされている点について、過日その存続を要望いたしましたが、改めて要望書として提出いたします。

診療内容を分かり易く表記することは患者・国民にとって重要なことであり、時宜を得た取り組みだと賛意を表したいと思いますが、「循環器科」を削除することはその目的に沿うものとは思えません。
標榜診療科名としての「循環器科」は、呼吸器科、消化器科とともに、既に昭和25年から50年以上も認められており、患者・国民に最も広く周知された標榜診療科名の一つです。

過日の日本医学会臨床部会で循環器内科、循環器外科の標榜科名案が示されましたが、今日の循環器疾患の診療内容は多岐に渡り、複雑に入り組んでおり、患者・国民が内科、外科を的確に判断することはしばしば困難です。
ペースメーカー植込み術、人工弁置換術、冠動脈形成術などの治療や術後の経過観察が、内科、外科の何れで行われているかを患者・国民が適切に判断できるとは思えません。

その意味で、「循環器科」は循環器疾患診療のGatekeeper的標榜科として重要な意味を持っています。臓器別の診療科名は大学の講座制や専門医制度とも密接に関連しており、日本循環器学会が認定した約1万名の専門医の名称も「循環器専門医」であり、内科医のみならず、外科医、小児科医も含まれており、広く循環器疾患の診断、治療に当たっています。循環器科、心臓血管外科の標榜が定着した現状を考えますと,例え循環器内科、循環器外科が基本的領域の標榜診療科と認定される場合においても,広く循環器診療を包括する基本的標榜科名である「循環器科」も標榜できるようお願い申し上げます。

以上、患者・国民により分かりやすく、安心かつ効率よい診療体制が整備されるよう、循環器診療の包括的な診療科名である「循環器科」を基本的領域の標榜診療科名として残すことを要望します。よろしくご配慮をお願い申し上げます。