標榜診療科名見直しに関する要望書

 このたび平成19年6月6日付で、柳澤伯夫厚生労働大臣、金澤一郎厚生労働省医道審議会医道分科会診療科名標榜部部会長宛に「標榜診療科名見直しに関する要望書」を、本会を含め全14学会の理事長連名で提出しましたのでご報告します。

平成19年6月6日

厚生労働大臣
柳澤伯夫殿

社団法人日本内科学会理事長 永井良三
社団法人日本呼吸器学会理事長 工藤翔二
財団法人日本消化器病学会理事長 跡見 裕
社団法人日本循環器学会理事長 山口 徹
有限責任中間法人日本神経学会理事長 葛原茂樹
社団法人日本アレルギー学会理事長 西間三馨
有限責任中間法人日本リウマチ学会理事長 小池隆夫
社団法人日本血液学会理事長 浅野茂隆
社団法人日本内分泌学会理事長 名和田新
社団法人日本糖尿病学会理事長 春日雅人
社団法人日本腎臓学会理事長 菱田 明
社団法人日本肝臓学会理事長 林 紀夫
社団法人日本感染症学会理事長 砂川慶介
社団法人日本老年医学会理事長 大内尉義
(公印省略)

標榜診療科名見直しに関する要望書

報道に拠れば、5月21日に医道審議会医道分科会診療科名標榜部会が診療科名の標榜の見直しについて検討を開始したとされます。現在、標榜診療科名は医療法6条の6の1項に定められた33診療科名(医科)に限定されていますが、現在の診療科名は一般的な診療科と専門性の高い診療科が混在した状態にあり、今回はこれを患者・国民にとってより分かりやすいものにするための見直し作業であるとされています。またより適切な医療機関選択に資するという観点から、診療内容を詳細かつ分かり易い自由な表記を可能にし、基本的な領域に関する診療科名と専門性の高い診療科領域の組合せにより、多くの情報をより分かりやすく表記できる工夫をすると共に、医師の主たる診療科が分かる表記をするとされています。

診療内容を分かり易く表記することが患者・国民にとって重要なことは当然であり、また多くの専門医資格が氾濫する現状において標榜診療科名の見直しを行うことは時宜を得た取り組みだと思います。そして診療科名標榜の原則は、ただ単に診療内容を分かり易く表記するだけではなく、その診療内容の質を担保するものでなければなりません。現在、日本専門医認定制機構を中心に卒後研修で医師が身につけるべき専門医研修・資格の整理・再編作業が進行中であり、専門医制度の基本的枠組みとして全ての医師がいずれかの専門医資格を取得することが望ましい基本診療領域(いわゆるPrimary Board)を定めようとしています。この基本診療領域は、内科、外科の基本的な専門領域(いわゆるSubspecialty)をも含んでおり、医師の基本的な専門性と、一定のトレーニングプログラムに基づく修練を経て認定された研修度を最もよく表しています。従ってこの基本診療領域は、今回の医師の主たる診療科を表示する見直し目的に最も合致するものであり、その他の専門医資格が今後この基本診療領域を中心に整理されることを考慮すると、標榜診療科名はこの専門医研修に裏付けられた基本診療領域と一致するべきものと考えます。また、標榜診療科は各種診療報酬の施設基準にも組み込まれており、これらとの整合性なく見直すことは難しいものと認識しています。標榜診療科名の見直し問題は、専門医研修制度の整理再編問題と切り離せられないものであり、慎重に整理収束させるべき問題であると考えます。

標榜診療科名の改訂については、関連する学術団体の意見を聴取することが医療法で定められており、多くの専門領域を有する内科、外科の、さらには専門医制度認定の担い手である日本専門医認定制機構の意見聴取を要望するものです。また総合科の新設についても関係諸学会と十分な時間を掛けた協議を要望します。

患者・国民にとってより安心でき、より分かりやすい受診体制が、標榜診療科名の見直しにより整備されることを期待します。

平成19年6月6日

厚生労働省
医道審議会医道分科会診療科名標榜部 部会長
金澤一郎殿

社団法人日本内科学会理事長 永井良三
社団法人日本呼吸器学会理事長 工藤翔二
財団法人日本消化器病学会理事長 跡見 裕
社団法人日本循環器学会理事長 山口 徹
有限責任中間法人日本神経学会理事長 葛原茂樹
社団法人日本アレルギー学会理事長 西間三馨
有限責任中間法人日本リウマチ学会理事長 小池隆夫
社団法人日本血液学会理事長 浅野茂隆
社団法人日本内分泌学会理事長 名和田新
社団法人日本糖尿病学会理事長 春日雅人
社団法人日本腎臓学会理事長 菱田 明
社団法人日本肝臓学会理事長 林 紀夫
社団法人日本感染症学会理事長 砂川慶介
社団法人日本老年医学会理事長 大内尉義
(公印省略)

標榜診療科名見直しに関する要望書

報道に拠れば、5月21日に貴部会が診療科名の標榜の見直しについて検討を開始したとされます。現在、標榜診療科名は医療法6条の6の1項に定められた33診療科名(医科)に限定されていますが、現在の診療科名は一般的な診療科と専門性の高い診療科が混在した状態にあり、今回はこれを患者・国民にとってより分かりやすいものにするための見直し作業であるとされています。またより適切な医療機関選択に資するという観点から、診療内容を詳細かつ分かり易い自由な表記を可能にし、基本的な領域に関する診療科名と専門性の高い診療科領域の組合せにより、多くの情報をより分かりやすく表記できる工夫をすると共に、医師の主たる診療科が分かる表記をするとされています。

診療内容を分かり易く表記することが患者・国民にとって重要なことは当然であり、また多くの専門医資格が氾濫する現状において標榜診療科名の見直しを行うことは時宜を得た取り組みだと思います。そして診療科名標榜の原則は、ただ単に診療内容を分かり易く表記するだけではなく、その診療内容の質を担保するものでなければなりません。現在、日本専門医認定制機構を中心に卒後研修で医師が身につけるべき専門医研修・資格の整理・再編作業が進行中であり、専門医制度の基本的枠組みとして全ての医師がいずれかの専門医資格を取得することが望ましい基本診療領域(いわゆるPrimary Board)を定めようとしています。この基本診療領域は、内科、外科の基本的な専門領域(いわゆるSubspecialty)をも含んでおり、医師の基本的な専門性と、一定のトレーニングプログラムに基づく修練を経て認定された研修度を最もよく表しています。従ってこの基本診療領域は、今回の医師の主たる診療科を表示する見直し目的に最も合致するものであり、その他の専門医資格が今後この基本診療領域を中心に整理されることを考慮すると、標榜診療科名はこの専門医研修に裏付けられた基本診療領域と一致するべきものと考えます。また、標榜診療科は各種診療報酬の施設基準にも組み込まれており、これらとの整合性なく見直すことは難しいものと認識しています。標榜診療科名の見直し問題は、専門医研修制度の整理再編問題と切り離せられないものであり、慎重に整理収束させるべき問題であると考えます。

標榜診療科名の改訂については、関連する学術団体の意見を聴取することが医療法で定められており、多くの専門領域を有する内科、外科の、さらには専門医制度認定の担い手である日本専門医認定制機構の意見聴取を要望するものです。また総合科の新設についても関係諸学会と十分な時間を掛けた協議を要望します。

患者・国民にとってより安心でき、より分かりやすい受診体制が、標榜診療科名の見直しにより整備されることを期待します。