専門医制度委員会のこれまでの活動と今後の展望

                       一般社団法人 日本循環器学会
                       専門医制度委員会

1.目的と業務
1)循環器専門医に関する諸問題の協議。
2)循環器専門医資格認定試験に関する業務。
3)循環器専門医資格認定更新に関する業務。
4)循環器専門医研修施設、研修関連施設の新規指定、指定更新に関する業務。
5)研修カリキュラム改訂に関する業務。
6)中間法人 日本専門医認定制機構への参加と会議への出席。

2.組織の変遷 
1975年7月専門医制度委員会が設置され、第1回会合が翌1976年2
月開催された。1989年4月専門医制度委員会のもとに資格審議部会、資格更新審議部会、施設審議部会が置かれた。1997年3月各部会の見直しが図られ、前記の3部会を廃止し、新たに専門医実務委員会、認定試験委員会)、専門医編集委員会を設けた。

3.これまでの活動歴
1975年: 高安正夫理事が委員長となり、専門医制度委員会を設置。
1976年: 第1回委員会開催。
1981年: 学会認定医制協議会(現中間法人 日本専門医認定制機構)が加盟学会22学会で発足。
1988年: 循環器専門医規則、経過措置に関する細則ならびに経過措置による循環器専門医認定及び研修施設指定を1989年度から実施。また本則(試験)による循環器専門医認定を1990年度から実施する案が承認可決。
1990年: 2,466名の循環器専門医が初回経過措置により認定。258施設が研修・研修関連施設に初めて指定。
1991年: 第1回循環器専門医認定試験にて70名が合格。        
専門医の英文名称が「Fellow of the Japanese Circulation Society(FJCS)」に決定。
1992年: 専門医制度委員会における編集委員会発足。
1993年: 『循環器専門医』創刊号刊行。
1996年: 阪神・淡路大震災による特別処置として1990年度認定者の更新保留を承認。1991年度以降の専門医についても事由審査のうえ承認。
1997年: 専門医の英文名称が「Board Certified Member of the Japanese Circulation Society」に変更。
2001年: 学会認定医制協議会が日本専門医認定制機構に名称変更。
2002年: 診療実績表評価委員による専門医受験申請書類の評価開始。
過去の試験問題の一部を『循環器専門医』に公開・解説。
専門医トレーニング問題集(『循環器専門医』既出分75題)を学会ホームページに公開。
2003年: 循環器専門医の内科学会との二階建て制合意文書締結。
「練習問題集」(トレーニング問題・過去試験問題)をCirculation Journalの付録として配布。
循環器専門医の標榜(広告)可能。
二階建て制構築に際し、内科系医師への認定内科医付与経過処置始まる(2004年10月6日にて終了)。
学会後援の大規模臨床試験参画者に単位加算の承認。
2004年: 循環器専門医の標榜(広告)可能に伴い受験資格、更新条件変更(内科認定医、外科認定医または小児科認定医であることが追加)。
研修単位登録に使用する専門医カード発行。
専門医認定更新時取得単位数40単位から50単位へ変更。循環器専門医としてACLSの必修化を承認。
専門医取得単位照会システムの導入。
2005年: 循環器専門医としてACLSの必修化を承認。
得単位照会システムの導入。
2006年: 更新対象者の専門医資格更新条件が現在の5条件となる。
専門医認定期間及び施設指定期間が、3月1日〜2月末日から4月1日〜3月末日に変更となる。
2007年: 全専門医の名簿公開をホームページ上で行う。
座長単位の廃止が決定。
循環器専門医誌筆頭著者への単位付与廃止。
2008年: 65歳以上の取得単位提出免除制度および保留制度の廃止。ACLS受講者への単位付与廃止。
ライブデモが教育セッションに組み込まれる。
受験資格にACLS受講が必須となる。
研修カリキュラム第3回改訂版が承認。
日本専門医認定制機構が日本専門医制評価・認定機構に名称を 変更。
2009年: 循環器専門医医師像をホームページ上で公開。
専門医更新に必要な研修単位に必修研修区分を設けることが決定。(2012年4月1日認定更新者からの適用とする。)

4.これまでの活動のまとめ
循環器学会専門医制度は、実質上平成元年に発足し20年以上が経つ。この間に多くの改革が施行され、平成9年からは下部組織を専門医実務委員会、認定試験委員会、専門医誌編集委員会の3つに統合、重要な事柄に関しては上部組織である専門医制度委員会で審議してきた。主だった活動を列挙する。
1)専門医資格認定試験
本資格認定試験は第1回を1990年8月26日に施行、本年(2009年)は第20回目となる。年1回東京と大阪の2会場で行ってきた。近年専門医資格認定試験の受験者が増加していることから、受験者数に応じて、東京、大阪、京都の3会場となった年度もある。
 専門医認定に至る過程は、まず認定試験委員会が各分野の専門家に試験問題の作成を依頼、集められた問題は取捨選択、修正され採用される。試験終了後、合否判定会議にて合格者が決定される。試験問題作成から合否判定までの間には各委員の献身的な努力があることを付記する。
2)専門医資格認定更新
 本学会認定循環器専門医の標榜(広告)が2003年6月25日付で可能となり、会員の専門医に対する関心も高まり色々な問題が生じている。5年に1度の更新となるが、その際認定試験受験時と同様に基本領域(−階部門)認定医の資格を有することが必須化され、その対応が大きな問題であった。また専門医資格復活の嘆願も多く見られ、個々に検討して対応した。
 従来の学会認定医制協議会は専門医認定制協議会と名称を変更、その後、日本専門医認定制機構から日本専門医制評価・認定機構と改められ、各学会の専門医認定に関して統一すべく協議が行われている。本学会認定専門医についても日本専門医制評価・認定機構からの指導の下、研修単位や研修カリキュラムなどの見直しが行われている。
 2009年4月1日現在、循環器専門医認定者総数は11,479名、会員2人に1人の割合になっている。
3)専門医研修施設・研修関連施設の新規指定・指定更新
 施設基準に従って研修施設・研修関連施設の指定・指定更新を行ってきた。指定施設数は2009年4月1日現在1,250施設である。専門医研修カリキュラム遂行に際して設備内容や症例数の見直しを行っていくことも今後の検討課題である。
4)研修カリキュラムの改訂
 専門医研修カリキュラムは医学の進歩、発展に伴って改訂して行く必要がある。1999年に第2回改訂、2007年に第3回改訂が行われた。今後は4年に1度程度の改訂を原則として見直しを行う。

5.今後の展望
 専門医の標榜(広告)は広く国民の望むところであり、それ故国民が安心してかかれる循環器専門医の育成を目指す必要がある。将来は専門医の認定は第3者の機構が行うことになるであろう。当面の目標として以下の事柄を挙げる。
1)専門医資格認定試験の質の向上。
2)専門医の質の向上、高い水準の維持。
3)専門医研修施設、研修関連施設の現実に即した見直し。
4)医学の進歩に伴う専門医研修カリキュラムの改訂。
以上