一般市民が行う心肺蘇生法(CPR)の国際的なガイドラインが変わりました。

これは日本からの2つの研究報告が大きく関与し、日本循環器学会をはじめとする関係者の尽力によるものです。

一般市民が行うCPRでは、人工呼吸は不要にー胸骨圧迫のみのCPR(Hands-Only CPR)を推奨ー

米国時間2008年3月31日午後に米国心臓協会(AHA)より一般市民が行う心肺蘇生法に関する声明が全世界に向け出されました。
院外での成人の目撃された突然の卒倒に対して、まず救急要請(119番へコール)し、すぐに胸骨圧迫(胸の中央を1分間に100回の速さで圧迫する)のみのCPRを開始する、ことが勧告されています。
傍にいる一般市民によるCPRは、蘇生率を改善するための有効な方法である事はこれまでの研究で示されていましたが、従来のCPR法では人工呼吸(口対口呼吸)が一般市民のCPR施行に対する最も大きな技術的・心理的障壁の一つでもありました。蘇生率を改善するために人工呼吸が蘇生の初期の段階では必ずしも必要ではないことが、昨年日本から発表された2つの大規模臨床研究(東京からSOS-KANTO study group: ?Lancet. 2007;369:920 ?926.?24. 大阪から Iwami T, et al.Circulation. 2007;116:2900 ?2907)を中心としてAHAは今回の声明を発表することを決定しました。今後、AHAでは一般市民向けの心肺蘇生法の講習会ではハンズ・オンリー(手を使って胸骨圧迫のみ行うことから、hands-onlyと称しています)CPRを指導することになり、これによるバイスタンダーCPR施行率と蘇生率の改善が期待されます。我が国でも、日本循環器学会が中心となりこの方法の普及啓発から救命率の向上を目指したいと考えています。

声明論文
Hands-Only (Compression-Only) Cardiopulmonary Resuscitation: A Call to?
Action for Bystander Response to Adults Who Experience Out-of-Hospital?
Sudden Cardiac Arrest. A Science Advisory for the Public From the American?
Heart Association Emergency Cardiovascular Care Committee

Michael R. Sayre, Robert A. Berg, Diana M. Cave, Richard L. Page, Jerald Potts and??Roger D. White
Circulation?published online Mar 31, 2008

AHA Emergency Cardiovascular Care ウェブサイト(医療従事者向け)
AHA Hands-Only CPR ウェブサイト(一般市民向け)